下呂市のInstagramを活用したゆる~いキャンペーン。開始後1カ月で1000件以上の投稿を達成
岐阜県下呂市。岐阜県の中でも山間部で決してアクセスが良い場所ではありません。
日本三名泉の一つ下呂温泉があり、毎年100万人近くの観光客が訪れます。
温泉地にしては珍しく、SNSを積極的に活用した攻めの姿勢。
Instagramを活用したキャンペーンで、
開始から僅か1カ月の期間で、投稿件数1,000件
という驚異的な数字を達成しました。
下呂市ってこんなところ
下呂市は、温泉がとても有名です。名古屋からは車で2時間ほど、電車で1時間半程度でアクセスできます。温泉旅館に泊まる人が多く、週末になると、浴衣を着た観光客が街中を闊歩している姿が多く見られます。
そんな土地柄もあってか、都会のように猛烈に成果を追い求めて疲弊するのではなく、ゆったりと自然と向き合いながら暮らす人が多いようです。
下呂市の観光キャンペーン「gerostagram」
Gerostagramは、Instagramのみを活用したフォトコンテストです。
フォトコンテストというと、一眼レフを三脚にセットし、プロ並みに綺麗な写真を撮るカメラマンが、渾身の一枚を応募するイメージがありますが、Gerostagramは違います。
応募方法は、極めて簡単です。
■応募方法
下呂市を訪問中に、Instagram(インスタグラム)で写真をアップするだけ。
STEP ①下呂で写真を撮影
STEP ②Instagram(インスタグラム)で、写真を選択
STEP ③ハッシュタグ #gerostagram をつけて、シェア
STEP ④下呂市公式アカウント @gerostagram をフォロー
■ プレゼント内容
Amazonギフトコード 5,000円 1名、2,000円 1名、1,000円 3名
正直、それほど豪華なプレゼントという感じではありませんが、旅行に行ったついでに写真をシェアして、もらえるなら嬉しいですね。
そんな手軽さや、Instagramのみを応募方法にした”ゆるさ”が良かったのか、普通に観光客が楽しんでいる様子の写真が多く投稿されています。
投稿1,000件がどれくらいすごいか?他の事例と比較
参考までに他自治体でInstagramを活用している事例を調べてみました。
鴨川市のフォトコンテスト
831件 開始からの経過日数:約4カ月
【応募期間】 2015年11月1日~2016年2月28日
鴨川のフォトコンテストは、ハッシュタグを9つに分散し、各テーマごとに応募をさせています。テーマ名のなかには、「大山千枚田」や「鴨川シーワールド」など地名も含まれており、ユーザーがコンテストを意識しなくても応募対象になる可能性もあります。
これら地名ものもすべて含めると27,015点の応募が確認されましたが、下呂との比較には公正ではないので、地名のフォトコンテストは除外しました。尚、鴨川シーワールドが最多の投稿数で24,493点ですが、逆にフォトコンテスト独自のハッシュタグと考えられるテーマでは、「鴨川の体験」:49件、「鴨川の笑顔」:36件 など、あまり多くの応募が見受けられませんでした。
テーマを分散させ過ぎたことと、テーマ性が強すぎたので参加しにくかったという面はあるかもしれません。下呂のようにGerostagramという包括的なハッシュタグの方が参加者にとってハードルが低いですね。「体験」や「笑顔」とテーマを絞られると、笑顔以外の投稿はしにくいですし、色々と考えた挙句に参加しにくいという面はあります。
実際に下呂の方がユーザーが自由に写真を投稿していて、その”ゆるさ”が投稿数の増加に貢献したと考えられます。
浜田市のフォトコンテスト
177件 開始からの経過日数:約1年
2015年の応募結果を確認したところ、177件でした。
浜田市の場合、応募されているフォトレベルが非常に高いのが特徴です。実際に受賞されている方の写真をみるとどれも美しく納得です。
しかし、それが却って参加のハードルを下げたのか1年間でInstagram経由での応募は僅か177件と悲しい結果に終わっています。
ここまで来るとInstagramを活用した意味があったのかと問いたくなってしまいます。
伊豆のフォトコンテスト
izunootobiko.com
153件 開始からの経過日数:約3週間
【応募期間】2016年3月20日(日)正午~2016年6月19日(日)23:59受付分まで有効
下呂と比較して、経過日数はほとんど変わりませんが、投稿数では下呂の約6分の1。
個人的には、企画も面白く、賞金も豪華(JTB10万円旅行券など)なので、もっと拡散されても良いと思いますが、圧倒的に下呂の方が参加者が多いという結果に。
下呂市の取組の何が良かったか?
これだけ短期間に多数の応募を集められたのは何故でしょうか?
私なりに分析したところ、次の3つが効果があったのではないかと考えます。
- 卒業旅行シーズンに合わせてキャンペーンをスタートしたこと
- ネットだけではなく、現地でのイベントで自然に参加しやすい仕掛けを用意
- 参加ハードルが低い
- スタート当初から、綺麗すぎる写真を挙げていない
- 地元の人も巻き込んで参加
良く考えたなぁ、と感心するのはキャンペーンのスタート時期です。Instagramを積極的に使っている20代の層を巻き込むのに、卒業旅行のシーズンは最適です。
卒業旅行になれば、自然にスマホで写真撮りますよね。
また、ネットだけでなく現地(リアル)を上手く活用できたのが大きいと思います。
現地に行くと分かるのですが、人が集まるイベント会場に何気なくインスタボードが置いてあるんです。インスタボードというのは、インスタグラムの枠を型取った縦長長方形のフォトフレームボードです。
実際に”モノ”があると、自然にこのボードを手に取って撮影するという行動の流れができます。
また、撮影写真のテーマ性もあまり絞らず、かなり”ゆるーい”感じが、参加者が増えた要因ではないでしょうか?
折角Instagramを活用したキャンペーン。多くの人に拡散されることを期待して活用するのであれば、参加のゆるさはポイントかもしれないですね。
まとめ
地方創生で地域活性化の為に、 InstagramやSNSを活用した企画を多く見かけますが、それぞれどの程度の効果を発揮しているのか、もっと調べたくなりました。
下呂は成功している部類に入ると思いますが、上手くいった自治体と上手くいかなかった自治体の差がどのあたりにあるのかを分析できると楽しそうです。